体験談

抜歯1週間前

突然右下奥歯辺りが腫れるように痛み出した。
その日の夜はバファリンを飲むも疼くような痛みで眠れずに会社を午前半休し歯科にいった。
(当日急遽の予約で受け入れていただいたこちらの医院には感謝である)
歯を見てもらったところ、親知らず周辺の歯茎が細菌におかされ、腫れてるようだった。
7番目と8番目(親知らず)の歯の間の歯周ポケットはなんと6mmにも及んでいたようだった。
(通常1mm以下)。
「これは抜かなきゃいけない親知らずですね」と先生。
レントゲンを撮るとこんな感じ。

レントゲン写真イメージ

親知らずは上下に4本、下2本は埋没型で倒れており、側面が少し歯茎から顔を出している。
本来歯茎に対して垂直にまっすぐ生えてくるべき親知らずが倒れていて埋没していることは割とあるようだが、根元が下歯槽神経という感覚神経に触れており、厄介なタイプ。
以前別の歯医者で歯列矯正をしようとしたことがあったが、そのためには親知らずを抜く必要があり、抜くときに神経を損傷して麻痺が残る可能性があるので、オススメはしないと言われ断念したことがあった。
だが、今回の歯医者では、そのリスク(麻痺が残る可能性)説明はあったものの、抜いたほうがいいという判断だった。

また、右下の歯に関しては、少し奇形で片側にふくらみがあり、簡単には取れないとの説明もあった。

腫れが治るまでは抜歯はできないので、その日は一旦抗生剤と鎮痛剤を処方され、1週間様子を見ることになった。

抜歯当日

4本同時にやると食事ができなくなるので、当日は右の上下2本を抜歯することになった。
レントゲンは正面から透かした画像に過ぎないので、神経に触れているように見えても、角度を変えてみると実際には触れているかわからない。神経に触れていないわずかな可能性に期待しつつ、改めてCTスキャンを行なった。

結果。。やはり下の歯がもろに触れていた。

先生も「うーん、これはシビアですねぇ。。」と思わずもらす。

神経を損傷すれば術後に麻痺、万が一術中に不慮の事態で神経が切断されてしまった場合、最悪一生麻痺が残る可能性があるとのこと。

1週間前レントゲンで撮影した際には、麻痺が残る可能性は100人に2,3人という説明だったが、今回のこのCTの画像を見て「麻痺になる可能性が高い」とまで言われた。
後にネットで調べたが、術後に麻痺が残る確率は0.6%,一生麻痺が残る可能性は0.05%という記事があった。(信ぴょう性はわかりません)

歯根が神経に触れている場合、歯科でやっても、大学病院の口腔外科でやっても、麻痺が残る可能性が高いとのことだった。そして麻酔をしても、やはり神経に触れる瞬間(歯から神経を剥がす瞬間)は電撃が走るようにビリビリと痛むとのこと。

それをきいて、心臓がバクバクしてきた。

また、手術のやり方としては、局所麻酔、鎮静麻酔、全身麻酔があるが、こちらの歯医者では局所麻酔と鎮静麻酔に対応しているとのこと。鎮静麻酔は聞きなれない麻酔だが、全身麻酔のように完全に意識を失うのではなく、うたた寝のようなリラックスした状態になる麻酔らしい。
術中の患者の恐怖心・ストレスはだいぶ減るが、行う場合は保険適用外で、一回あたり7〜8万くらいかかるらしい。
お金の余裕があるならやることをオススメすると言われた。

術後の痛みはどの方法を選択しても変わらない。

しばらく考えたが、7〜8万は流石に高いと感じたので、腹をくくって局所麻酔でやると答えた。

手術開始

まずは、簡単な右上智歯(親知らず)
局所麻酔の針をさす痛みをなくすため、表面麻酔を行う。
麻酔液を浸したガーゼを5分間奥歯につめ、待つ。
その間先生は他の患者さんの処置をしているようだった。
目の前には大きなPC画面があり、スクリーンセーバーで葉っぱの上に乗ったカタツムリの写真が表示されていた。
心落ち着かせる画像を選んでいるのかは知らないが、カタツムリのドアップって、皮膚感とかがなんか気持ち悪くあまり見たいものではなかった。

そろそろ表面麻酔が効き始めてきて、そこから3箇所くらい局所麻酔の注射を刺した。
そこからまた10分くらい、より深部が麻痺するのを待つ。

しばらくして先生が戻ってきて、椅子をリクライニングされた。
先生はゴム手袋をはめて、手術らしい格好になった。
(親知らずの抜歯って立派な"外科手術"だんだよな)

そこからタオルで目隠しされて口を大きく開ける。

パリパリ。。(歯が剥がれる音?)と頭蓋骨まで響いた瞬間、
手術台隣のデスクの上あたりから「カラン」と硬いものをトレーに置くような音が聞こえた。

「はい、上はこんなもんです」

1分もかからずに抜けた。
拍子抜けした。

次は下。表面麻酔(5分待機) → 局所麻酔(10分待機)
と同じ手順をふむ。下の方の局所麻酔は、浸透を待っている間、大きく口を開けたり閉じたりを繰り返してくださいとの指示があった。
麻酔の浸透を広げるためだろうか。

そしていよいよ下の親知らずを抜く時がきた。
今度は先生と、歯科助手の方も加わった。

まずは下の歯を抜くためには、歯茎の切開が必要となる。
メスのようなもの(器具の名前はわからない)
で歯肉をきるが、これは静かなものだ。
麻酔が効いていて内側からは触られている感覚もわからないため
シーンとした時間が続く。ほんとに作業しているのかな?
と思われるほど。

「はい、一旦椅子を起こします。よくすすいでください。。」

え、ペロンと歯茎がめくれた状態で濯ぐの?
クチュクチュペーすると、血が唾液と水道水に混じって出てきたが、
思ったほど血は出てなかった。

さらになぜかそこから待機させられた。
多分複数の患者さんの処置を別室で同時に行なっているようだった。
(もちろん他の患者さんは抜歯ではないと思われる)

こんどは目隠しされた状態仰向けで待機させられる。

歯医者さんってオルゴールが流れているイメージだけど、ジャズのような軽快な音楽が流れていた。
これはこれで落ち着く気がする。

しばらくして戻ってきて、再開。

器具の形も大きさもわからないが、おそらくほじくるような鋭利なもので、カリカリと
削られているような感覚がした。

途中、ドリルの音だったり、パリパリ歯が砕けるような音だったり色々な音が聞こえた。
トレーに器具を置く音で、「あ、違うことされるんだな」とわかった。

そして思ったよりも力ずくだった。
ものすごい力をかけている様子が先生の手の震えから伝わってきた。
ジャムの瓶の硬い蓋を開けようとするときに、プルプル震えるあれだ。
あの震えている感じで、思いっきり歯の下側にかけて圧力をかけているような感じだった。
器具がずれて、変な方向に当たって怪我しないか、そっちが結構怖かった。

あと右下の処置だが、口を開けた状態で右下を思い切り押されているので、左顎がものすごく痛くなった。先生にそれを伝えると、

「はい、では口を閉じて一旦楽にしててくださいー」

といわれまた放置された。15分以上処置途中の状態で院内のBGMを聞く。
ジャズではなく、別の音楽に変わっていたが、私にはそれが何のジャンルなのかわからない。
昔のアメリカっぽい音楽だった。

しばらくして戻ってきて、再開。

やはりドリルで削ったり、圧力をかけたり、ほじったり、カリカリ引っ掻いたり、そんな音がひたすら繰り返された。

で、また顎が痛くなってきて、10分休憩。

作業再開するが先生もなんか手こずっているようだった。

「ふう。。」と息を漏らしたり、「うーん。。」と悩んでいるような声だったり、
なにやら聞こえるような聞こえないような言葉で独り言を喋っていた。
「ここが引っかかってとれねぇ」というセリフは唯一聞こえた。
独り言だとなかなか語尾が乱暴なんだなと思った。

「ここからは神経に触れますので慎重にいきますね」

お、いよいよか。緊張してきた。
手の動きが丁寧になった気がするが、力を入れる瞬間はやはりプルプル震える。

電撃ほどではないが、やはりズキンと痛む瞬間はあった。
だが想像していたほど耐え難い痛みではなく、少し安堵した。

術中「ぶっとい神経が見えてますよ」と教えてくれたが、そんなこと言わなくていい。
「脱臼してるのでもう少しです」
脱臼ってどういう意味だっけとふと考える。
そこからもなんか割れた歯のかけらを取り除くような感じがしばらく続き
終わったともなにも言わずに「ではもう一度レントゲン撮ります」と。

「これは終わった合図なのか?」と期待しながら再度レントゲンをとる。

画像を見て、「綺麗になくなってますね」とのことなので、もうこれ以上恐怖を感じなくていいんだろうと安堵した。

10:00開始で終わったのが13:00なので、待機時間はあったものの、3時間程度処置が行われた事になる。上は1分くらいなので、ほとんどが下の歯だ。

そのあとは抜いた後の空洞(抜歯窩というらしい)にゼラチン?を詰め、縫合して
ガーゼを噛み止血しつつお会計。お薬代含め9000円くらいだった。

術後当日

帰宅して2,3時間して麻酔が切れてきた。やはり痛い。。
痛み止めを飲む。食事もまともにできないので、ウィダーインゼリーのようなものを3個飲む。
麻酔は切れたと思われるものの、下唇右側から顎にかけて、麻酔したような状態が続いている。
指を触れても、触れられた感覚がない。。やはり麻痺してしまったようだ。。

術後1日経過

様子を見せに再び歯医者へ、消毒してもらった。
麻痺してしまったことを伝えると、
「まあ、こればっかりは仕方ありませんね2週間くらい様子を見るしかありません」
と白々しい。
「抜歯後 麻痺」と検索エンジンに入れると、3語目に「訴訟」とという言葉が出てくるが、
私の場合、リスク説明はきちんとあった。インフォームドコンセントだ。
数ヶ月かけて治ることを期待して待ちたい。。
(神経が断絶されていれば一生治ることはないが、断絶されているかどうかはわからないらしい)

ああ、左側の抜歯もあるんだよなぁ。。と憂鬱な気分でブログを書いている。

ネットで調べた親知らずのいろいろ

※以下は、著者が複数のWEBページで独自に調べたもので、医学的根拠・信ぴょう性があるものではございません。誤りを含む可能性があるので、参考程度に読んでください。

ドライソケットについて

下の親知らずの抜歯後に発生する可能性のある症状。とあるサイトによる5人に1人はこれになるらしい。ドライソケットは日本語にすると「乾いた穴」という意味。
通常抜歯直後は歯肉や骨周りから血が染み出して穴(抜歯窩)を満たしそれが唾液と混ざりぶよぶよとした血の塊となる(これを血の餅と書いて血餅といい、口外で怪我した時のかさぶたに相当する)
これが細菌感染を防いでくれたり治癒を促進してくれる効果があるらしいが、術後下記点に気をつけていないと、剥がれてしまうことがある。

  1. 強いうがい
  2. 入浴
  3. 飲酒
  4. 運動
  5. 喫煙

1について、術後血が出ることを気にしてうがいしたくなるが、強いうがいを繰り返すと、血餅が剥がれてしまう。2~4は血液の流れが良くなったり悪くなったりして、血餅が固まらなかったりする行動なので控えたほうがいいらしい。

血餅が剥がれるのを繰り返すと、穴が開いた状態で乾き、骨が露出した状態となる。
そこに細菌が感染すると、激痛が発生する。
しかもこれ、治りにくいらしく、人によっては数週間〜1ヶ月近く激痛に悩まされることになるそうだ。治りが悪い時は、もう一度消毒した上で歯肉を傷つけ、出血を促す(再掻爬)という処置をするところもあるらしい。

ドライソケットは術中・術直後の痛みよりも辛いという意見もあったので、上記行動を避け、
極力なるリスクを下げたい。

親知らずは必ず抜かなくてもいい

生え方によっては抜かなくてもいい場合もある。
他の歯と同様に歯茎に対して垂直に近い角度で生えていてブラッシング等も問題ない場合、
歯として機能するので抜く必要はない。
または歯茎から露室せず完全に埋まっている場合も、虫歯になることはないので、抜かなくても問題ないケースがあるとのこと。少しだけ露出していて歯磨きしづらく、虫歯や歯周病のリスクが高い状態であれば、抜いたほうがいいが、先述の私のケースのように歯根が神経に接近または接触している場合、
神経麻痺となるリスクがあることは覚えておいたほうがいい。
(まともな歯医者さん・お医者さんなら、術前に説明はあると思う)

とにかく親知らずでトラブルを抱えているor抱えるリスクがあったら早めに歯医者さんに一度見てもらったほうがいい。